日本の未来

グローバル化に邁進する日本の未来に危機感を抱く者です。歴史認識を正して日本人としての誇りを培いたいと願っています。体験にもとづく本音トークも交えます。

安倍教育改革の問題点(2)


今回も、『安倍「教育改革」はなぜ問題か』(藤田英典著 岩波書店 2014年11月27日発行)

の中から、共感した点について、テーマを絞ってご紹介します。


 「政治主導」の教育改革を、特定秘密保護法の成立、集団的自衛権の行使容認という動きと共に「国のかたち」を変えるものとして捉えたとき、
真に改善と言えるのかどうかを、しっかりと見極めなければならない。


【大学入試改革の問題点】

2013年10月、教育再生実行会議は、高(校)大(学)接続・大学入試改革に関する第4次提言を公表した。

高校教育の質向上、大学の人材育成機能の強化、および大学入学者選抜方法の改善を一体的に図るために、

大学入試センター試験に替えて、

高校在学中に複数回受験できる二種類の「達成度テスト」(基礎レベルと、発展レベル)を実施するとした。

具体については、中教審で検討中だが、2014年3月の審議経過報告によれば、概要は以下のようなものである。

★ 基礎レベルは、国語、数学、外国語、地歴、公民、理科の学習到達度を把握するもので、高校での学習改善に活かし、各大学の推薦入試やAO入試での活用を促進する。

★  発展レベルは、大学教育を受けるために必要な「主体的に学び考える力」などの能力を測るもので、複数の教科・科目にまたがる「合科目型」や、教科の枠組 みにとらわれない「総合型」の出題とし、コンピュータによる出題・回答(CBT)方式も検討する。成績は、素点ではなく、段階別や標準化点数、百分位など により提供する。


~ その後の(2014年10月24日発表の)改革案 ~

★「基礎レベル」=「高等学校基礎学力テスト」 2019年からの実施予定
  
  高校生の学力定着度を調べる。
  (結果は高校の作成する「調査書」に記載)

★「発展レベル」=「大学入試希望者学力評価テスト」 2020年からの実施予定

成績表示は段階別、TOFLEなどの資格・検定試験の活用、
各大学の入試選抜におけるアドミッション・ポリシーの明確化と
多様な評価方法の併用(「大学入試希望者学力評価テスト」の成績、論述式問題、レポート、調査書、高校の活動歴、学習計画書、自己アピール、課題レポート、面接、プレゼンテーション、集団討論など)

および、一般入試、面接入試、AO入試などの区分の廃止


ーーーこうした改革案に対して、高校・大学関係者は総じて批判的
例えば、
大学新聞社が、全国の高校2043校を対象にした2014年4月の実施調査では、新テストに反対が73%
また、ベネッセ教育研究所が、全国の高校校長(1228名)と大学学科長(2015名)を対象にした調査では、①現行に近いものに賛成が高校63%、大学61%)で、約6割が現行の制度に賛成している。

問題点は、「到達度テスト」によって受験競争が激化し、家庭の経済力などによる格差がさらに拡大することと共に、「幅広い資質能力の多面的な評価」をするためには、教員のさらなる多忙化も危惧されることなど。

「お受験」現象の傾向が、小中学校段階から広まることになりかねない。また全国学力テストによる学校の序列化や、、到達度テストによる学力測定の精緻化と常態化が進むなら、偏差値輪切り選抜や受験学力偏重が、改めて問題化することになりかねない。

日本の教育の質向上と入学者選抜の公平性が、これで図られ、維持されるだろうか。

かつて小泉政権下での「三位一体の改革
①国庫補助負担金の廃止・削減
②税財源の地方への移譲
地方交付税の見直し

これにより、補助金負担金9000億円の捻出が課題となり、義務教育費国庫負担金が餌食にされ、2006年から、それまでの二分の一から三分の一へと削減された。

それから約10年の間に、
学校現場に要求される教育活動や事務量は増え続け、
もう一方で、特別な支援を必要とする児童生徒や、日本語指導が必要な外国籍児童生徒の増加など、学校が抱える問題・課題も増え続けている。

そのため、教職員定数の改善が急務となっている。しかし、それはほとんどなされず、教職員の多忙化はますます進み、バーンアウトする(燃え尽き症候群に陥る)教師や、心身の不調や障害を抱える教師も増えてきた。

加えて、少人数学級や習熟度指導を促進するためにも、専任教師を非常勤講師に置き換える動きが広まってきた。その結果、専任教師の負担が著しく増大した。(さまざまな教育活動をコーディネートしなければならないためだろうか?・・・ブログ主のつぶやき)

こうした事態の放置は、「国家百年の計」とさえ言われる学校教育の軽視以外の何ものでもない。



筆者はこのほかにも、不当、不適切な行政的統制として、教育委員会制度改革に関する地方教育行政法が2014年6月に参議院で可決されて成立したことをあげています。

ーーー同改定法は、教育長と教育委員会委員長を一本化し、首長に教育長を直接任命・罷免する権限を与えている。それに加えて、首長は、新たに設置される総合教育会議を招集し、国が定める教育方針を参酌し、教育振興施策大綱を策定するとしている。

つまり首長は、これまで以上に教育長を介して、日常的に教育行政に介入できるようになり、もう一方で、教育振興施策大綱の策定を通じて、さまざまな制度改革や教職員・教育現場への管理統制を強化することが可能となるーーー。

そういえば、最近、教員採用試験を国家試験化する、という方針をマスコミで聞いた覚えがあるのですが、それによって確保される教員の質とは、どのようなものなのでしょうか。要するに、教育公務員になりたければ、国の意向に従え!ということですね。目には定かに見えないけれど、何か怪しいものを感じます。