日本の未来

グローバル化に邁進する日本の未来に危機感を抱く者です。歴史認識を正して日本人としての誇りを培いたいと願っています。体験にもとづく本音トークも交えます。

虚心坦懐?【小林節】氏の自説変更


以前私は、小林武氏(沖縄大学客員教授南山大学法学部教授、愛知大学法科大学院教授を2011年に定年退職)の講座をある集会で拝聴した際に「いいかげんお引き取りください護憲論先生」と題してブログを書いています。 (2013年05月31日)

一部引用します。


「ア メリカからの押しつけ憲法なのでは?」との問いには、「日本政府には十分な時間が与えられていたにもかかわらず、作成の意志も能力もなかったため、GHQ が、やむなく明治憲法をしっかり踏まえた上で各国のものを取り入れた案を出し、それに基づいて現憲法は作成されたのだから、押しつけには当たらない。」 「主権者としての天皇を望む人々、戦争放棄はまっぴらだという人々が、憲法を改正したがっている」のだそうです。

「安倍首相自身が憲法を 改正しようとしているのでは?」との問いには、「憲法99条には、憲法を尊重し擁護する義務が書いてあるのだから、安倍首相は本来は辞任に当たることをし ている」のだそうです。「憲法は人権を守る基本になるものであり、容易に変えてはならないものだ」と念を押されました。

「日本が外国から 侵略されたらどうなるのか?」との問いには、「非武装、非暴力が日本国憲法のあり方、遠回りに見えてもそれが一番の近道だ。暴力による解決は最も愚策」だ そうです。と言いつつも、おそらく会場の雰囲気が重苦しくなりすぎたからでしょうか、「万一侵略をされたら、税金によって養われている自衛隊を活用すべ き」とも付け加えられました。


このような、「何が何でも憲法ありき」という姿勢には、大いに違和感を持ち、これでは国の存続自体が危ういのではないかと感じました。ガチガチの護憲論者は、これまで自分が築いてきた「憲法学者」としての地位を守るためにのみ、言説を費やしているとしか思えませんでした。


その点、少し考え方が違う方々ではないかと思え、昨年から注目していた憲法学者が、長谷部恭男(やすお)氏(学習院大学東京大学教授→早稲田大学教授)と小林節(せつ)氏(慶應義塾大学教授)です。

長谷部氏の著作『憲法と平和を問い直す』(2004年)は、まえがきから、本文、あとがきに至るまで、かなり丁寧に読みました。国家理論の根幹に関わることが、問い直されており、単なる護憲ではないことが感じ取れました。

まとめの部分から、一部引用します。


立 憲主義的憲法は、民主政治のプロセスが、自分では処理しきれないような問題を抱え込まないように、民主政治で決められることをあらかじめ限定する枠組みで もある。根底的な価値観の対立を公の領域にひきずり込もうとしたり、大きなリスクをともなう防衛の問題について、目先の短期的考慮で勇み足しないように、 憲法人為的な仕切りを設けようとする。ーーー「立憲主義」はそれを維持する不自然で人為的な努力を続けなければ、もろくも崩れる。



さて、朝まで生テレビ 動画 憲法9条と日本の平和 (2015年4月24日)で、小林氏は、自説の変更を告白されたのです。

https://www.youtube.com/watch?v=FP41UFXaj8I


その部分をほぼ逐語で書き起こしてみます。


今回の安保法制改定で、海外派兵ができるようになる、ということの政治的正当性、憲法上の正当性を考えたい。

9条2項で軍隊と交戦権を否定している以上、国際上の戦争にコミットメントすることはできない。(海外で戦うことはできない)
だから、自分の国の中にある第2警察である自衛隊で、受けて守るしか、専守防衛しかできないできた。それが外へ出て行ったら海賊山賊になる。

その憲法体制を変えないで、海外派兵することには無理がある。
自衛隊が海外で武器使用をしては、国際法違反になる
やるなら憲法を変えよう。

従来より私は、この立場だった。

だが、「集団的自衛権」に対して、最近は揺れている。かつては「集団的自衛権OK」だった。そのために「憲法を改正しろ」といっていた。

けれど最近議論に参加するうちに、「日本のような超大国が70年も戦争をせずに来ることができたということは、世界の平和のクッションみたいにいい役割ができる」と思うようになった。

だから集団的自衛権で海外派兵をしたら、日本の70年間の宝が失われると、今は思っている。



ーーー「それじゃあ護憲派になったのか」という田原総一郎氏の問いには、「いや、もろもろ改善すべき点はあります。」と答え、ここで一同に笑いが起きました。小林氏はのけぞって笑いました。難しい議論中の、にわかに場の和むひとときでした。



実はこの方々は、6月4日国会招致で物議を醸した3人のうちの2人です。小林氏は国会に臨んで、驚くべき自説の変更ぶりを披露されました。

「まず結論から申し上げます。この戦争法案は、憲法に違反し政策としても愚かであり、廃案にすべきです。」これには、心境の変化を知っていた私も驚きました。

「虚心坦懐」とは、(先入観やわだかまりのないこと)です。もしも邪心がないならば、大物憲法学者が、改憲から護憲に近い立場へと自説を変更されたということは、この法案がいかに一筋縄ではいかないものであるかを表しているといえるでしょう。